私たちが日々利用しているあらゆるWebアプリやシステムが、多くのデータを保持しながらサービスを稼働させています。
また、世界中の多くの企業において、蓄積されたデータを活用することで事業を成功させているケースがたくさんあります。
そのようにデータを保持したり蓄積していくために必要となるのが、「データベース」というものになります。
ここでは、データベースがどのような役割を担っていて、実際にどのようにして活用していくのかを、初心者の方に向けてわかりやすく簡単に解説していきます。
データベースとは
データベースとは、決められた形式やルールをもとに管理されたデータの集まりのことで、通常はコンピュータ内に保存されてます。省略して「DB」と表記されることもあります。
形式やルールが決められているのは、大量にあるデータをコンピュータが検索しやすいように整理しておく必要があるからです。
身近な例として、フリマアプリの顧客情報を「氏名」「性別」「電話番号」等の項目ごとに整理したり、複数の商品情報を「商品コード」別に分類したりしたものがあげられます。
データベースの役割
データベースでは、あらゆる情報を整理し保管されています。さらに、そこから欲しいデータを取り出したり、編集や共有をしやすくすることこそデータベースの役割となります。
綺麗に整理されている情報は扱いやすく、必要に応じて必要なデータをすぐに取り出せる点がデータベースを活用する大きなメリットといえるでしょう。
一方で、ルールを持たず不規則にデータが保存されていた場合、該当の情報を探すのに多くの時間を要します。そのため、データベースを活用することで情報の検索や抽出に時間をかけずにできるのです。
身近な例として、以下のような場面でデータベースの機能が役に立ちます。
・各店舗の仕入発注関連を一括管理できる発注管理システム
・ユーザーの個人情報や利用状況などを管理し検索できる顧客管理ツール
・学生の氏名、学年、成績などを参照できる大学内のシステム
・商品の情報などを登録し、注文に合わせ検索や手配ができるショッピングサイト
・病院内の患者記録を素早く参照することができる電子カルテ
また、近年では、データを保管しておくだけでなく、蓄積されたデータを加工し分析に役立てたり戦略的に活用されるケースが増えてきています。
データベースを活用するには?
ここまでで、データベースがどのような時に使われるもので、どのような役割を果たすかを見てきました。
次に、実際にデータベースを活用する方法や、データベースから必要な情報をどうやって抜き出すのかなど、より詳しい内容について解説していきます。
データベース管理システムとは?
ここまで読み進めていると、「データの保管や抽出ができるって言っても、それって誰がやってくれるの?」という疑問が沸いてくるのではないでしょうか。
その役割を担ってくれるのが「データベース管理システム」といいます。data base management systemを略して「DBMS」と表記されることもあります。
データベース管理システムは、名称の通り、データベースを管理するためのソフトウェアのことを指します。機能としては、データの登録、検索、更新、削除などの操作を行い、効率的なデータ管理を可能にします。
データベースはデータを入れておくための箱のようなもので、データベース管理システムが実際に管理をしてくれているのです。そのため、データベースに格納しているデータを適切に扱うためには、データベース管理システムが必須ともいえるでしょう。
代表的なデータベース管理システム
データベース管理システムはソフトウェアであることから、あらゆる種類のものが存在します。
代表的なものとしては、Oracle Database、MySQL、PostgreSQL、Microsoft SQL Serverなどがあります。また、MySQLやPostgreSQLはオープンソースでも提供されていることから、多く使用されています。
これらは、システム毎に特徴はあるものの、多数のユーザーが同時にデータベースにアクセスすることができ、セキュリティ・効率性・信頼性など、データベースの管理以外にも重要な機能を提供します。
「SQL」の役割
プログラムを動かすのに、あらゆるプログラミング言語が使われているように、データベース管理システムを操作や制御をする言語が必要となります。そのような言語のことをデータベース言語といい、その中でも最も普及している言語の1つが「SQL」となります。
基本的にはどんなシステムであっても、データベースが存在しデータを操作することが多いため、システム開発や運用を行っていく上で、SQLは身に付けておいて絶対に損はしない知識と言えるでしょう。
データサイエンス分野で活用されている言語では「Python」が有名ですが、「SQLとはどう違うの?」という疑問が浮かんでくるかもしれません。
PythonとSQLの大きな違いは、プログラミング言語かデータベース言語かという点です。Pythonはシステムの開発に用いられるプログラミング言語の一種で、SQLは既出の通りデータベースを扱うためのデータベース言語の一種となります。
データベース管理システムの種類
ここまでで、データベースの概要やデータベース管理システムについて解説をしてきました。データベースと一括りにしてきましたが、データベースには複数の種類が存在するのです。
昔は、階層型データベースやネットワーク型データベースが主流で使われてきましたが、現在はリレーショナルデータベースが主流となるため、ここではリレーショナルデータベースに絞り特徴について解説していきます。
リレーショナルデータベースについて
リレーショナルデータベースは、データを表形式(テーブル)で管理することが特徴です。
一方で、前述の階層型データベースやネットワーク型データベースでは、データをツリーや網状のような構造で扱います。そのため、データの持ち方が大きく異なるといえるでしょう。
また、基本的に複数の表(テーブル)を持ち、システムの機能に応じて必要なデータを管理しています。テーブルは、行(レコード)と列(カラム)の2つの要素によって構成されています。
データ同士は複数のテーブルの関係によって関連付けられ、SQLを用いてユーザーの目的に応じた形式で操作できます。また、Excelのように行と列からなる表の形式でデータを管理するため、複雑なデータを扱いやすいという特徴もあります。
例として、以下のようなケースに、データベースからSQLを用いてデータを抽出することができます。
・社員リストから、在籍年数が10年以上で平均給与よりも高い社員をリストアップしたい
・商品在庫データの中から、直近10日間で一番売れている商品を検索したい
・顧客基本データの中から、大阪府に住む20代女性の人数を割り出したい
まとめ
データベースについて、IT業界未経験者に向けて解説してきました。
どんなサービスやシステムにおいても、データというものがありきで動いているといっても過言ではりません。
そのデータを保管しておくためのデータベース管理システムや、データベース管理システムに対して指示をするSQLは、これからIT業界への転職を目指している人すべてにとって必要な知識といえるでしょう。
まずは、ここで挙げてきたような身近な例を参考にデータベースの存在について意識していきましょう。